2015.05.10 Sunday
「夏涼しくて冬あたたかい家」(3/6)
自ら動くことのできない住宅が、夏の日射を遮るためには、
・太陽の動きを知って、
・日射が「自分」のどの部分に当たり、どこを通るのか
を、知ってその上で「そこを通る日射」を防ぐ方法を考えてゆきます。外壁(=窓)への日射の防ぎ方についてのキーワードは2つ。庇(ひさし)と簾(すだれ)です。
もうすこし詳しく書けば、
・南の窓の軒(庇)と
・東西の窓の簾(すだれ)です。
外壁面への日射量は屋根面を下回りますが、夏の日射対策は、ここからが本番です。
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屋根とは違い、外壁面にはたいていの場合、窓があります。
窓のない、正味の外壁の部分については屋根と同じように、熱を室内に持ち込まない(遮熱と断熱)工夫をすればそれでよいのですが、ガラス窓は「ノーガード」で日射しが入ってきます。いわばそこだけは温室のように、室内は温められ熱されてゆきます。
日射は防ぎたいけれど、明るさや通風、そして視界は確保したい。そのためには窓は日射に対して「閉じながらも開いて」いなければなりません。こうした一見矛盾することがらを実現できる手法は、実は、先人からの知恵として、今も「ふつうの家のこと」として生き続けています。
せっかくですからその仕組みを再確認しましょう。まずは南面からです。
日射は防ぎたいけれど、明るさや通風、そして視界は確保したい。そのためには窓は日射に対して「閉じながらも開いて」いなければなりません。こうした一見矛盾することがらを実現できる手法は、実は、先人からの知恵として、今も「ふつうの家のこと」として生き続けています。
せっかくですからその仕組みを再確認しましょう。まずは南面からです。
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結論から先に言えば、建物南側壁面に当たる日射は、平屋ならば軒が、総2階でも窓上の庇(もしくはバルコニー)があれば遮ることができます。
夏至のころ、南東に位置する午前11時の太陽はもうすでに高く、高度(仰角)75度と、「建てかけた梯子くらい」に急勾配です。この角度で高さ2メートルの掃き出し窓に差し込む日差しを計算すると、窓から室内に向けて、奥行き40センチほどになります。
木造住宅の場合、大抵の屋根の南側には軒が出ていて、その寸法は夏の直射日光を遮れるだけのものです。夏至の11時の太陽ならば、標準的な高さの平屋建であれば、80センチ程度の軒の出で、室内への日射を防ぐことができます。また、総2階建ての1階部分でも、窓の上端に奥行40センチ程度の庇があれば、夏の日差しを室内から締め出すことができます。
次は東・西面です。
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建物の東(西)側を照らすときの太陽は、高度はまだ(もう)低く、朝7時〜8時半(15時半〜17時)のあいだの夏の日差しは「ほぼ横殴り」です。ちょうど暴風雨に差し向ける雨傘のように、「真上からの日射を防ぐため」の庇や軒では、夏のこの時間帯の日差しを防ぐことはできません。しかし対策はあります。
いちばん効果的なのは、これらの面にいっさい窓を設けないことですが、「ほどほど」を目指す考え方ではありません。ではどうするのかといえば、開口は必要最小限にとどめて(東面西面の外壁面積もできるだけ小さくして)、その開口にはキーワードの2つめの「簾(すだれ)」を設えて日射を遮ります。
簾でも朝顔でもゴーヤーでも植栽でも、原理としての括りは「外付けブラインド」なのですが、簾も朝顔もゴーヤーも植栽も、そのナチュラルでユルいイメージに反してなかなか「いい仕事」をしてくれます。性能値でいえば、これらは日射の80%を遮る効果があり、それは熱線反射ガラス、いわゆるlow-Eガラスを凌ぐものです。
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太陽の動きは一定なので、その動きを見越して窓の位置を決めて日除けを設けてやると、効果は毎年持続して、しかもイメージ以上に効果的です。そしてそれらは「窓の設置位置の検討+α」で済むので、無駄にスペックを引き上げないという意味で、潜在的なコストダウンと同義です。
外からの熱を防ぐ方法に続いて次回は、室内の熱気を外に出す方法について書きます。