渡辺浩二設計室 別館 

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「夏涼しくて冬あたたかい家」(6/6)
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冬の室内環境の、ふたつの「隠し味」につい書きます。これがあれば、室内環境をさらに引き立ててくれますし、無いとちょっと物足りないです。


それは何かというと、


・室内空気の均一化と、
・日射取得、



です。

 
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まずはひとつめ、室内空気の均一化についてです。


・暖房機などで室内にて作り出される熱と
・室内から外に逃げてゆく熱との釣り合いがとれて、


「計算上の室温が20℃である」ように計画された住宅は、この時点ではまだ、


実際にはリビングは30℃でトイレは5℃である、といった問題がおこる可能性を孕んでいます。建物全体としての熱の収支がつりあっていても、気温の分布が人間のスケール感に馴染むものでなければ、その家の室内環境は快適であるとはいえません。


暖められた空気は上昇する(冷やされた空気は下に留まります)ので平屋であれば天井付近、2階建てであれば2階部分に暖気は集まります。夏であれば高窓をあけて排気すればよかったのですが、冬にそれでは暖房計画が成り立ちません(ふた昔くらい前の断熱性能の住宅で「吹き抜けの家は寒い」といわれた原因が、これです)。


ではどうすればよいか?


水平方向と垂直方向、それとガラス窓付近をあわせた室温の不均一を解消するためには、
2つの対処法が考えられます。

(1)
家の中を「複数の小さな部屋の集まり」に区切ってそれぞれを小さな室容積とし、感じられる温度差を できるだけ小さくする方法(暖房機は各主要室に分散配置して個別運転)と、

(2)
(空調的には)ワンルームの室内に暖房機1台の全館暖房として、上部に溜まった暖気をファンなどで 床下に強制的に移して(暖気はまた上昇するので)室内空気を縦方向に循環させる方法


のふたつです。


どちらにも一長一短はありますが、


(1)の「小分け分散型」は、
・夏季の通風通気のルートをどう確保をするかということ、
・いわゆるヒートショック、冬場の急激な温度低下による血管障害への対策をどうするのか、


(2)の「ワンルーム全館型」は、
・室温の均一さをつくりだしながら必要なプライバシーの質をいかに落とさないか、


が鍵になります。


※コストについては設置時・運転時をあわせて考えると、どちらもおおよそ「とんとん」です。

 
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次はふたつめの隠し味、日射取得です。


冬の太陽の軌道は夏とは違ってかなり低く、最も高い軌道をとる夏がオーバースローならば、冬はスリークオーターで投げる投手の腕の振りのように、水平線寄りを鋭く掠めます。朝7時過ぎに東南東から昇って夕方17時すぎに西南西の空に沈むほどに、その日照時間は短く、日射量も夏のおよそ半分です


冬至に、太陽が真南に位置する正午の太陽高度は約30度です。このときに高さ2メートルの掃き出し窓に射し込む、日差しの奥行きは(三角定規を頭に浮かべながら計算すると)、和室の8畳間なら床の間の手前ぐらいまで届きます(2.0*√3≒3.4メートル)。



以前の記事(「夏涼しくて冬あたたかい」家 その3/6)を振り返ると、夏至の11時の日差しの奥行きは40センチですから、南面に可能なかぎり大きな開口をとることは、冬の日差しを取り込むにも夏の日射を遮るにも、どちらにも都合がよい ことがわかります。
 
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太陽光発電パネルを設置検討する際に、パネルメーカーのエンジニアさんにいろいろお伺いする機会があったのですが、パネルの発電効率を検討する際にもっとも注意しなければならないこととは、パネルの種類でも設置する角度でも地域でもなく、


「実際に設置する場所に太陽光を遮る障害物がないこと」で、


それさえ確認できれば、まあなんとか発電計画は成立するように、太陽光パネルは設計されているのだそうです。


冬の日射取得についても考え方は同じで、日差しを遮るよほどの障害物がない限り、日射量が少ないといわれる山陰地方であっても、晴れた日には冬の陽だまりが生まれます。


朝起きる前の布団の中を例に出すまでもなく、冬のぬくもりは愛おしく、陽だまりも日射量の少ない冬だからなおさら貴重といえるのかもしれません。それらをどこまでプランに反映できるのかを確認する作業は、なんだかほっこりしますね(^^)


 
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以上、「暑さ寒さが負担とならない、ほどほど快適な家」について、まとめてみました。


夏と冬の熱の言い分をよく聞いて、うまく棲み分けができると、必要以上の動力に頼らなくとも、「程よい」室内環境をつくることは、「ふつうのこと」として実現可能です。

 
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