家づくりにおける、さまざまな創意工夫やアイディアは、気持ちのよい、快適で安全な、安らげる空間をつくりあげるためのものです。
が、それらが実現されるための大前提は「予算内に収まっていること」で、敢えて、直球ど真ん中に言い切ってしまえば、家づくりにおいての検討事柄とは、突き詰めると、
1:どのような家が
2:いくらでできるのか
このふたつしかありません。
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「どんな家が」を予算内の「いくら」に収めることが、私たち建築士の重要な職能であるはずなのですが、その計画ごとに「世界初の試み」を必ず持ち合わせ、また、後に触れますが、プランの多様化に伴い、いわゆる坪単価などの従来のやりかただけでは「その計画のコスト」を正確にはかることはむずかしく、これまでの修行時代での経験をふりかえっても、方法論が確立されている場面に出会うことは、残念ながらありませんでした。
ですが、独立開業して、これまでできなかった「逆からのアプローチ」での経験を積み重ねることで、細部の違いを金額に反映して読み込めるノウハウ(のようなもの)の道筋が見えて、おかげ様でひと通り身についているようです。
そこで今回はそのノウハウの背景、
「どんな家が」と
「いくら」
のふたつが決まってゆく仕組みを知ってもらい、そこから遡ったプランニングを可能にするためには、何が必要なのかをご紹介します。
これから、以下の6つの項目に分けて話を進めてゆきます。
1:現時点における坪単価の効能と限界
2:家ができてゆく、そのシステム(「材料と人」編 )
3: 〃 (「お金と人」編 )
4:建設業界の商習慣の歴史と現状
5:家づくりのあたらしい動き
6:コストから逆算したプランニング
それでは、次回より本格スタートです。