2015.05.01 Friday
分離発注ってなんだろう (その1/5)
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弊社の主な業務は、「住宅の設計監理と分離発注方式による現場のマネジメント」です。
今回から5回に分けて、分離発注ってなんだろうと、あらためて頭の中を整理したことについて書きます。とはいえ経験が土台の話なので、体系的でなかったり教科書とのズレが出たりしそうですが、実話に免じてその点はどうぞご容赦ください。
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まずは現場の様子について書きます。
現場は職人さんたちが腕を振るい、現場監督(的な役割のコンストラクションマネージャー)が各職方間の工程調整や仕様・納まりの確認、施工精度の管理や資材の発注などをおこないながら、基礎ができ構造体が組みあがり屋根ができて壁ができて、少しずつ完成に近づいてゆきます。
現場では、特に「分離発注であること」とは関係なしに、建築の作法に従って、ヒトとモノと時間が流れてゆきます。
では、いったい何が異なるのか?
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今回がよい機会だからとあらためて考えてみたのですが、現場をふくめた業務全般について、分離発注が一般的な形態とはあきらかに異なる点がふたつありました。
ひとつは、お金の流れかたが、他とは異なります。
分離発注方式の工事代金は、大工さん左官屋さん板金屋さんなどの職人さんたち、各専門工事業者にクライアント様から現金で直接支払われます(設計と工事マネジメントには業務委託契約に基づいた報酬が別途支払われます)。個別に分けて発注の対価として支払われるから、その名のとおりに分離発注方式です。
もうひとつは、最初から最後まで、一貫して専任の建築士がクライアント様をサポートすること。
ご相談、プランニング、設計、現場のマネジメントをおこないながらクライアント様の「直接の」窓口になり続けることは、いってみれば棟梁の采配とおなじです。分離発注に限ったことがらではありませんが昨今ではどちらかといえば少数派、というか希少種です。
諸説あるのですが、大量生産に向かないことがおおきな理由だといわれていますがこの先、「大量生産をしたい理由」はともかく、「大量生産しなければならない理由」がこのまま温存され続けるとは、どうにも思えません。
ふたつの違いが実務上ではどのような特徴となってあらわれるのか?
家づくりのスタートからから完成までのあいだ、建築主(クライアント様)、設計者、工事管理者、施工者(専門工事業者)、それぞれの視点からどう映るのかを次回、検証してみます。